深夜、キム・ハジンは拳銃を携えて寮を抜け出し、射撃訓練場へ向かった。翌日に控えた戦闘訓練に備え、自分の能力を確かめるためだ。
訓練場は第1寮の東にあるドーム状の施設で、複数の訓練室を備えていた。腕時計による認証では、以前のキム・チュンドンではなく、キム・ハジンという名前が表示される。改めて自分の立場の変化を感じながら、ハジンは訓練室へ入った。
訓練では十体の標的を選び、難易度を第4段階に設定する。標的となるのは大型のケラに似た魔物で、不規則に動き回る相手だった。
ところが、拳銃を構えたハジンの目には、標的がこれから移動する軌道が見えていた。未来の動きを先読みするように引き金を引くと、次々に弾丸が命中する。わずか1.37秒で十体中八体を撃破し、射撃評価は100点満点中80点を記録した。
自分に与えた特殊能力の効果を実感したハジンは、射撃の楽しさに夢中になり、訓練を繰り返す。
午前3時ごろ、20回の訓練を終えたハジンは、隣の部屋から聞こえる矢の音に気づいた。扉越しに内部を見通すと、そこではチェ・ナユンが弓の訓練をしていた。
ナユンは魔力で作った四本の矢を放ち、20体の標的を一気に破壊する。現在の魔力操作技術では、一本の矢を複数に分ける技術をまだ使えないものの、その実力は圧倒的だった。
ハジンは驚嘆すると同時に、彼女には弓以上に適した武器があることを思い出す。しかし、その武器を使わない段階ですらこれほど強いことに、自分が設定した能力の高さを改めて感じていた。そのとき、ナユンが突然こちらを振り向く。壁越しに姿が見えるはずはないが、不審に思ったハジンは急いでその場を離れた。
その後、ハジンは訓練結果を確認する。特殊能力「射撃の達人」の熟練度は50%に達し、幸運の効果によって知覚と速度もそれぞれ0.1上昇していた。この能力には、あらゆる遠距離武器への適性、遠方の視認と標的の動きの予測、さらに24時間に一度だけ戦闘中の3秒間を特殊な時間感覚で行動できる力が備わっている。
拳銃は熟練度を高めやすい一方、威力では弓が優れている。ハジンは将来的に弓へ切り替える必要があると考えた。
20回の訓練で得られた物語ポイントはわずか五だった。拳銃を主武器に選んで目立った際には64ポイントを獲得しており、地道な訓練より人目を引く行動のほうが効率よくポイントを得られることが分かる。
それでも翌日の戦闘訓練に向け、ハジンには対策が必要だった。幸運に能力値を集中させた結果、身体能力は一般人以下になっていたからだ。そこで目をつけたのが、持久力と速度をそれぞれ0.3上昇させる訓練用の運動靴だった。
ハジンは靴に体力と活力の回復を促す効果を追加しようとするが、ポイント不足で失敗する。しかし、効果の持続を1時間、使用間隔を24時間、能力自体の有効期限を1か月に制限すると、必要なポイントを五まで抑えることに成功した。
変更を確定すると、パソコンから青い光が放たれ、白い運動靴へ吸い込まれていく。靴には新たな色の筋が刻まれた。こうしてハジンは、射撃能力の成長に加え、身体能力を補う装備の強化にも成功する。翌日の戦闘訓練を前に、限られたポイントを使い切って準備を整えたところで第6話は幕を閉じる。