魔人となったキム・ナムウン
ユ・サンアの警告に、キム・ドクシャは反射的に身をかわす。飛び込んできたのは、数分前に頭を砕かれたはずのキム・ナムウンだった。黒いエーテルに侵されて魔人となった彼は、意識を失い、人間だった頃を上回る力で襲いかかる。ドクシャの「全知的な読者の視点」も相手に意識がないため発動を続けられず、鋭い爪が太ももを裂いた。
その隙に、ハン・ミョンオはユ・サンアを肩に担ぎ、橋の向こうへ走り去る。片脚を引きずっていたはずなのに、驚くほどの速さだ。ドクシャは、それが星座から与えられた力だと見抜く。さらに「登場人物一覧」が二人の情報を読み取れなかった理由にも思い当たる。ユ・サンアとハン・ミョンオは、ドクシャが知る物語の登場人物ではない。彼が救わなければ命を落としていた人々だった。
偶数でなければ渡れない橋
橋の先では、イ・ヒョンソンとイ・ギリョンがすでに安全地帯へ入っている。ハン・ミョンオも対岸へ進み、ドクシャだけが魔人の群れとともに取り残された。橋を渡るには人数が偶数でなければならないが、魔人は「人」として数えられない。ドクシャが一人で渡ろうとすれば、橋を渡りきれない。
彼は魔人を捕まえて橋を渡る案も考えるが、成功の見込みは薄い。そこで橋の上の人数を調整するため、襲いかかる魔人たちの勢いを利用し、次々と橋から落としていく。落下した者たちは水中の魚に襲われる。危険な方法を続けるうち、シナリオの残り時間は15分に。キム・ナムウンの攻撃で負傷も重なり、ドクシャは追い詰められていく。
一分だけ借りた力
星座たちから反応が届き、さらに200コインが支援される。所持金は5,000コインに達したが、トッケビは相変わらず、星座の後ろ盾を得られないドクシャをあおる。一方、目の前のキム・ナムウンは、心臓を壊さなければ倒せない。硬い体には手持ちのナイフも通じず、ドクシャは打開策を探す。
そこで発動したのが、固有能力「ブックマーク」だった。三つの枠のうち、登録済みなのはキム・ナムウンとイ・ヒョンソン。ドクシャは一番目のキム・ナムウンを選ぶ。借りられる時間は一分だけで、相手への理解が浅いため力も一部しか使えない。それでも黒い力が発動し、ドクシャは借りた力で反撃に転じる。ナイフで心臓を切り裂かれ、橋から落ちていくキム・ナムウンは「死にたくない」と訴える。その姿に、ドクシャは彼が普通の学生として生きたかもしれない未来を思い、複雑な感情を抱く。
ついに現れた物語の主人公
能力が切れると、ドクシャを激しい疲労が襲った。残り時間は10分、周囲にはまだ多くの魔人がいる。彼は一人で全員を倒すつもりではなかった。待っていた人物が現れ、武器も持たずに拳だけで魔人たちを圧倒する。
「登場人物一覧」は、相手をユ・ジュンヒョクと示した。三周目の回帰者で、並ぶ能力の高さは、今のドクシャでは到底及ばない。次の瞬間、ユ・ジュンヒョクはドクシャの首をつかみ、「どうして生きている」と問い詰める。物語の主人公との突然の対面が、第9話の幕引きとなる。