読者に生き残る道を示す一文から始まる長編小説が、ついに完結した。
キム・ドクシャは、古いスマートフォンに表示された完結を示す表示を何度も確かめていた。
その作品は、作者tls123による全3,149章の長編ファンタジー小説『滅亡した世界で生き残る3つの方法』。キム・ドクシャが中学3年生の頃から10年間、読み続けてきた物語だった。
10年間をともにした物語
キム・ドクシャの人生は順調ではなかった。不良たちからいじめを受け、入学試験に失敗して地方の大学へ進み、運の悪い抽選によって軍の最前線に配属された。何度も転職を繰り返し、現在は大企業の関連会社で契約の仕事をしている。
そんな日々をともにしてきた小説が完結した。ただし、作者のコメントによれば、まだエピローグが残されているという。
10年間親しんだ世界が終わる寂しさと、物語を読み通した満足感を抱きながら、キム・ドクシャはコメント欄に作者への感謝とエピローグへの期待を書き込む。伝えたいことはほかにもあったが、不用意な言葉で作者を傷つけることを恐れ、それ以上は書けなかった。
この小説は、彼にとって人生で最も大切な作品だった。しかし、人気作品とはほど遠かった。
1章あたりの平均閲覧数は1.9、平均コメント数は1.08。第1章には多くの閲覧があったものの、第10章では120、第50章では12、第100章ではわずか1にまで減っていた。
その後も各章の閲覧数には「1」が並び、時折「2」があっても、キム・ドクシャは誰かが間違って押しただけかもしれないと考えていた。
ほとんど一人しか読まない作品を、作者は10年間、3,000章以上も書き続けた。キム・ドクシャには、それがまるで自分のためだけに書かれた物語のように感じられた。
善意の推薦と作者からの連絡
完結まで無料で読ませてもらったお礼に、キム・ドクシャは推薦掲示板で作品を紹介することにした。
ところが、投稿には批判的なコメントが集まった。同じ作品を何度も推薦していることを調べられ、荒らしや不適切な宣伝ではないかと疑われたのだ。
キム・ドクシャは数か月前にも推薦文を書いたことを思い出し、慌てて投稿を削除しようとする。しかし、すでに削除できない状態になっていた。
心から面白いと思って紹介したのに、なぜこんなことになってしまったのか。少しでも読んでくれれば作品の魅力が伝わるはずなのに、と彼は残念に思う。作者に寄付することも考えたが、生活に余裕のない彼には難しかった。
そんなとき、突然メッセージが届く。送り主はこの小説の作者、tls123だった。
作者はキム・ドクシャに感謝を伝え、彼のおかげで最後まで書き終えることができたと告げる。さらに、あるコンテストで優勝したという。
驚いて詳細を尋ねると、作者は無名のコンテストなので知らないだろうと答えた。キム・ドクシャは少し疑問を抱きながらも、それが本当であってほしいと思った。自分の知らない場所で作品が人気を得ているのかもしれない。わずかな寂しさはあったが、物語が広まることは喜ばしかった。
続けてtls123は、大切な読者のおかげでこの物語が世に出たのだと感謝し、特別な贈り物を送りたいと申し出る。キム・ドクシャは求められるまま、自分のメールアドレスを伝えた。
さらに作者は、翌日から作品の有料化が始まり、公開予定のエピローグにも料金が必要になると知らせる。
キム・ドクシャは喜んで、この傑作なら最初から有料でもよかったと返す。しかし、それは強がりだった。毎日更新される作品を読むために月3,000ウォンを支払うことは、生活に余裕のない彼にとって小さくない負担だった。その金額は、彼にとってコンビニの昼食一食分に相当する。
それでも、最後のエピローグは必ず購入すると作者に約束した。
翌日を知らないまま
その後、作者から返信は来なかった。キム・ドクシャはサイトをログアウトする。
しばらくすると、彼の気持ちは沈み始めた。作者は成功した途端、返事もせずに去ってしまったのだろうか。そんな考えが浮かぶうちに、作者への憧れはささやかな嫉妬へと変わっていく。
結局、あれは自分の小説ではないのだ。
贈り物は商品券だろうか。5万ウォン分ならうれしい。
そのときのキム・ドクシャは、そんなことを無邪気に考えていた。
翌日、世界に何が起こるのか、まだ何も知らずに。