月長石から現れた異世界の案内人リュカオン
砕けた月長石の中から、銀色のたてがみを持つ巨大な存在が姿を現した。キム・ドクシャとハン・スヨンの前に現れたのは、異世界クロノスの五大支配種族の一つ、イミュンタル族のリュカオン・イスパランだった。
ドクシャは異世界種族との初遭遇報酬として2,000コインと「異世界通訳」スキルを獲得する。さらに、以前火竜から手に入れた「イミュンタルの守護の証」によって、リュカオンの言葉を理解できるようになった。
リュカオンは371歳のイミュンタル族の王子であり、強力な能力と「風の道」という秘伝技術を持っていた。故郷を滅ぼされた彼は、第五シナリオで地球の人々を災厄から守るための案内人として派遣されていた。
しかし、彼は本来集まるはずの五人の案内人がいないことに疑問を抱く。第四シナリオが正常に終了していれば、絶対王座の所有者のもとに全員が現れるはずだった。
ドクシャが絶対王座を誰も獲得せず、破壊して第四シナリオを終わらせたと明かすと、リュカオンは激しく動揺する。彼の反応から、ドクシャは案内人たちが地球を救うという表向きの役割とは別の目的を持っていることを改めて認識した。
火竜討伐の証が覆した力関係
リュカオンの怒りに対し、ドクシャは彼の故郷クロノスを滅ぼした五つの災厄について語り始める。
クロノス南部を壊滅させたのは、「燃える地獄の災厄」と呼ばれる火竜イグニールだった。ところがドクシャは、その災厄をすでに倒したと告げる。
信じようとしないリュカオンに、ドクシャは青いメダル「イミュンタルの守護の証」を見せた。それは災厄の竜を討伐した者だけが持つ証だった。
証を目にしたリュカオンの態度は一変する。先ほどまで人間を見下していた王子は、ドクシャの前にひざまずき、無礼を謝罪した。
そこでドクシャは、リュカオンを目覚めさせた本来の目的を明かす。それはイミュンタル族の秘伝技術「風の道」を教わることだった。
南方の火竜の災厄が消えた以上、第五シナリオで最初に襲来するのは東方の災厄となる。ドクシャは、その「問いの災厄」に対抗するためには風の道が不可欠だと考えていた。
第五シナリオに残された災厄
約一時間後、ドクシャは事情を理解しきれていないハン・スヨンに説明する。
実際に倒したのはイグニール本人ではなく、劣化した存在である「下級イグニール」だった。しかし、災厄の隕石から孵化した存在はすべて災厄に該当し、代わりに下級イグニールが現れたことで、本来のイグニールは今回出現しなくなったのだ。
これによって五つの災厄のうち一つはすでに排除された。ただし、残る四つは本来の姿で現れるため、危険性はむしろ高い。
ドクシャ自身も下級イグニールに一度殺されており、「不殺の王」の力がなければ生き残れなかった。あの竜がソウルで成長を続けていれば、都市全体がクロノス南部と同じ運命をたどった可能性があった。
スヨンはリュカオンの戦闘能力に期待するが、ドクシャは案内人が異世界の災厄と直接戦うことを禁じられていると説明する。災厄を退けるのは、あくまで自分たちの役目なのだ。
秘伝技術「風の道」の修行開始
準備を整えたリュカオンは、ドクシャを「守護者」と呼び、風の道の指導を始める。
風の道は、風を自分の手足のように自在に操ることができる隠された技術であり、他種族ではイミュンタルの守護の証を持つ者しか習得できない。本来この技術を得る予定だったのはユ・ジュンヒョクだったが、ドクシャは今回は自分が習得することを選んだ。
ところが、風の道はシステムを通じて簡単に獲得できるスキルではなかった。実際に動きを学び、身体で習得しなければならない。ドクシャは三時間にわたって懸命に修行を続け、原作小説の知識を頼りにリュカオンの動きを追っているつもりだった。
さらに約一時間が過ぎた頃、リュカオンはためらいながらドクシャに声をかける。
「守護者様、申し上げにくいのですが……」
その言葉の続きが示されないまま、風の道の習得に挑むドクシャの場面で第78話は幕を閉じる。