世界樹の根で力を蓄えた精霊型魔物「蝶の苗床」が、この日出現する。ハジンは討伐の先に、レイチェルが悟りの手がかりを得ること、そしてスホが特別な粉を得る筋書きを知っていた。出現時刻は思い出せないため、レイチェルと世界樹の周囲を歩き回るが、狩れた魔物は四体だけで、一人六点にとどまる。レイチェルが島の外縁へ行こうとするのをハジンは止め、探索を続けた。
三十分ほど後、地震のような振動が起き、世界樹の大きな根から蝶に似た魔物が現れた。近くにいたスホとチェ・ナユンも駆けつける。二人はハジンの秘密について話していたが、苗床の出現を知ると戦闘に加わった。木の根で編まれた翼と葉に覆われた身体を持つ苗床は、世界樹の生命力を吸収して実体化した存在だった。
苗床は十数本の巨大な根を地面から突き出し、スホとナユンを襲う。スホは根を容易に切るが、硬く魔力で強化された根にナユンは苦戦する。ハジンの銃弾が根の表面を燃やし、弱ったところをナユンが斬り裂いた。レイチェルも剣気を放って本体を狙う。ハジンは根ではなく本体を攻撃するよう促すが、ナユンは剣で戦い続け、レイチェルの風の刃の援護を受けて魔力の刃を伸ばし、根を断ち切った。
ハジンは訓練用銃で連射し、苗床の翼を傷つける。しかし根の反撃を受け、レイチェルが剣で防いだものの、増え続ける根に包囲されて腹部を強打され、木に叩きつけられた。吐血するほどの傷だったが、気功強化のおかげで致命傷は免れる。そこへハジンのポケットからエバンデルの種が飛び出し、彼女の腹部に貼りついた。
デザートイーグルを使えないハジンは、聖痕の魔力で訓練用銃の弾丸三発に火属性を付与する。その一発が苗床の翼に当たると、翼は爆発とともに焼失した。だが、ハジン自身も威力に驚く。茂みにいたソ・イジンが珠状の物を手にしているのを見つけ、実際に翼を撃ち落としたのは彼女だと気づいた。ハジンの攻撃に見せかけて身を隠し、苗床の粉を狙っていたのだ。
落ちた苗床をスホが斬ると、黄金色の粉が舞い上がる。しかし、それは苗床の粉ではなく、ソ・イジンがまいた眠り粉だった。ハジンは口と鼻を覆うが、スホは光景に見入り、ナユンも酔ったようになる。ソ・イジンが動き出した瞬間、別のまばゆい光が立ち上った。
眠気に包まれたレイチェルは、腹部から輝く黄金の光を見る。光は三歳ほどの少女の姿となった。その顔は幼い頃のレイチェルにそっくりで、抱きつくと傷が癒えるような温もりを伝える。レイチェルが少女の頭を撫でると、少女は無邪気に笑った。やがて少女が口にした一言に、レイチェルの表情がこわばる。眠気が深まり、声も出せないまま目を閉じる彼女に、少女は「ママ」と呼びかけた。