謎の女性は、キム・ハジンについて調べさせた結果を聞いていた。両親も親戚もいない孤児で、孤児院で英雄候補の選抜試験を受け、六歳で軍事士官学校に入学。その後も目立った成績はなく、キューブ入学前の順位は平均以下で、三億ウォンの借金を抱えているという。
それでも女性には疑問が残った。身につけている神話級装飾品「セイレーンの首飾り」は、他者の認識を歪める能力を持つ。優れた知覚力と視力がなければ見破れないはずなのに、ハジンは彼女を認識していた。通信相手は手帳に彼の名を記すことを提案するが、女性は、さらに調べてから判断すると答える。
そこへ大柄な男が現れ、女性をボスと呼んだ。男は英雄たちと戦いたがるが、彼女に止められる。二年生首席を見たものの特筆する点はなかったと報告すると、通信相手は、優秀な一年生を改めて調べるよう指示した。女性は首飾りの力を発動し、男に自分が見えるか試す。男は薄い輪郭を捉えても、集中を切らすと姿を見失い、ついには居場所も分からなくなった。彼ほどの知覚力でも見破れない能力を、ハジンがどうして見抜いたのか、女性の疑念は深まる。
男の名はチョク・ジュンギョン。かつて朝鮮半島最強の剣士として時代を動かした人物の前世を、悟りと継承によって目覚めさせたイレギュラーであり、古い武神の精神と気迫を受け継いでいた。
週末が明け、キューブの戦闘試験が始まる。月曜の種目は決闘で、候補生は三人まで相手を指名でき、指名された側は拒否できない。順位差に応じて点数が調整されるため、上位者が下位者に勝っても得点は少なく、下位者は敗北しても点を得られる。また、強者への挑戦は、ギルドのスカウトに実力を示す機会にもなる。
ハジンを指名したのは、十八位のキム・ホラクだった。九百三十四位のハジンとの順位差は大きく、ホラクが勝っても三点を超えることはない。ハジンは、ただ自分を殴りたいのだろうと考えながら寮を出る。
試験期間中のキューブでは、多くの候補生が家族と過ごしていた。ひとりで決闘場へ向かうハジンに、ユ・ヨンハが追いつく。ホラクを止めようとしたが聞き入れられなかったと話す彼女は、カメラがある場所では距離を取り、通り過ぎると再び隣に戻った。
ヨンハは最高級の弾丸を百発贈り、必要なら追加の弾丸や防御装備も用意すると申し出る。命を救われた報酬ではなく、あくまで贈り物だと照れながら念を押した。さらに、魔人事件の証言を求められているが、ハジンが力を隠したがっていると察し、彼がユン・ヒョンを狙撃したことを報告していないと明かす。ユン・ヒョンは危険な悪魔リリスと契約しており、後ろ盾のないハジンが報復を受ける恐れがあるため、彼は秘密を保つよう頼んだ。
ヨンハが「ホラクは勝つのか」と尋ねる。ハジンには、わざと負けるのかと聞かれたように響いたが、実際には勝とうとしても勝てないと思っていた。返事をする前にヨンハは去り、彼女に気づいた記者たちが駆け寄っていく。
午前八時、第二決闘場は報道陣でにぎわっていた。ハジンは候補生用の通路から第五控室へ入る。三、四十人の候補生は一瞬彼に注目したものの、すぐに会話へ戻った。面識の薄い生徒は、ホラクに目をつけられたのは目立ちすぎたせいだと忠告する。ハジンは、目立つことで強くなる自分は彼らとは違うと思う。さらに、キューブを抜け出して歓楽街で金を使っているという噂を尋ねられ、首を横に振ったが、相手には肯定と受け取られてしまう。結局ハジンは、「したくても金がない」と答えるのだった。