木曜日、キューブの教室では四日後に迫った筆記試験に向け、多くの候補生が勉強に励んでいた。先日の事件が世界中で報道され、幹部が調査対象になったことで戦闘訓練は中止され、授業は復習と理論中心になっている。体が回復しても運動できないチェ・ナユンは退屈を訴える一方、キム・スホはユ・ヨンハに問題の解き方を尋ねていた。
キム・ハジンのもとには、前日に続いてレイチェルが高難度の問題を持ち込む。特定の等級の半魔人をボスとする階層型ダンジョンについて、魔力密度の範囲と攻略に必要な人数を求める問題だった。ハジン自身には解法が分からなかったが、「観察と読解」に追加した能力で、自ら設計した世界の設定に従って答えを導く。魔力密度は878~1133、必要人数は九人。解答を受け取ったレイチェルは目を見開き、計算過程を熱心に確かめた。
授業後、ナユンはハジンに勉強を教えてほしいと頼む。しかし、試験直前からでは成績を大きく変えられず、自分にも教える方法がないと考えたハジンは断った。ナユンは「現象界分析」の対策資料だけでもと食い下がるが、ハジンはそのまま立ち去る。
翌週、月曜日から金曜日までの筆記試験が終了した。戦闘試験で下位になる可能性を考慮したハジンは、総合成績を落とさないため筆記試験に全力を注ぎ、全問正解できたような手応えを得ていた。
土曜日、翌々日から始まる戦闘試験を前に、キューブは候補生の家族や英雄関係者、採用機関の人々で賑わう。許可された報道機関も訪れ、候補生がカメラに慣れる機会にもなっていた。中央の英雄公園で休んでいたハジンは、両親を連れたハヅキと出会う。日本語を理解できないながらも挨拶を交わし、家族と去るハヅキを見送ったハジンは、自分の両親もこの世界にいてくれたらと寂しさを覚えた。
そのとき、黒髪と黒い瞳を持つ女性が目に留まる。彼女は英雄協会の指名手配者であり、犯罪組織カメレオン旅団の団長、さらに「八部衆の夜叉」の称号を継ぐ人物だった。数多くの身分を使い分ける彼女の本名を、ハジンだけは知っている。
女性が振り返って視線を合わせると、ハジンは圧倒的な威圧感に体を硬直させ、冷や汗を流す。女性が歩き去った後も監視されていると感じたハジンは、見つめていた理由を取り繕うため、彼女が魅力的だと呟いた。女性はわずかに振り向いたものの、そのまま立ち去る。
ハジンは、カメレオン旅団が戦闘試験に潜入して候補者を勧誘するという原作の展開を思い出す。本来はスホとシン・ジョンハクが候補となり、スホは思想の違いから外され、組織はジョンハクに目をつけたまま平穏に撤収するはずだった。しかし今回は、ユン・ヒョンの事件を受け、英雄協会が多数の英雄を派遣している。世界順位1737位のオ・ジュンヒョクや2000位のソ・ヨンジも変装して警戒に当たり、両者が衝突すれば多数の死者が出かねない。
一方、人工林に入った女性は、誰にも見られていないことを確かめてから、何者かに自分を見た人物がいると報告した。首にかけた「セイレーンの首飾り」には、他人に自分を認識させない効果があり、鏡で確認しても正常に機能している。相手は首飾りを見破るほどの知覚力を持つのかもしれない。女性は、地面から聞こえる声の主がハジンについて調査を始めるのを待つ。