キム・ハジンは山頂の松に登り、千里眼で周囲の狩猟部員を見渡す。獲物の数を競っていたチェ・ナユンが弓で狩る一方、スヴェンは小川のそばから動かない。しかし山猫が近づくと、背中から伸びた触手で首を貫き、自分のもとへ引き寄せた。アスモデウスの力だった。スヴェンは半径三百メートル以内の動物を次々に仕留め、一時間後、六匹のナユンに対して八匹を狩ったと告げる。
賭けに負けたナユンは、願いを一つ聞くことになった。スヴェンはためらいながら好意を告白するが、ナユンは知り合って二日で恋愛感情は持てないと拒絶。さらに、自分より強い男性が好みで、スヴェンは弱いと言い切る。入学当初から彼女に一目惚れしていたスヴェンは、色欲の悪魔アスモデウスとの契約によって増幅した感情を抑えきれず、黒い魔力を噴き出し、目を赤く染めた。
約一キロ離れて見張っていたハジンは、スヴェンが襲いかかる瞬間に発砲する。頭を狙った弾は肩に命中し、体勢を崩したスヴェンはナユンに衝突した。半ば魔人化した彼を見てナユンは弓を放つが、スヴェンは矢を受けても止まらず、彼女の頭をつかんで地面に叩きつける。「自分のほうが強い」と叫び、ナユンの手首を押さえた。
ハジンは撃ち続けるものの、魔力で強化されたスヴェンには通常弾が通じない。強力な光の弾丸では、下敷きになったナユンまで巻き込む。木々を跳び移って距離を詰めたハジンは、デザートイーグルを散弾銃形態に変え、不完全な魔人化で防御が弱い頭部を至近距離から撃ち抜いた。
だが、スヴェンは倒れず、触手で反撃する。エーテルの盾が最初の一撃を防ぐも、スヴェンは盾を払い、ハジンの首を締め上げた。意識が薄れていくハジンを救ったのは、背後から飛び上がったナユンだった。彼女は純粋な魔力で長剣を形作り、スヴェンを肩から腰まで一刀両断する。魔力の激しい刀身と安定した柄を両立させた剣は、キム・スホにもできない精密さを備えていた。ナユン自身にも何が起きたのか分からなかったが、大量の魔力を使い果たして倒れてしまう。
ハジンは負傷して服も破れたナユンに上着をかける。スヴェンの体は跡形もなく消えた。魂を代償に悪魔と契約した魔人は、死後も契約相手のものになるためだった。ハジンは、翌日ドイツに悲報が届くと思う。
夜十時、目を覚ましたナユンは事件を思い出す。立ち上がろうとしても脚が動かず恐怖に襲われるが、ハジンは魔力枯渇だと説明する。魔力を使い切ると回復速度が大幅に落ち、最低二日は寝込む状態になる。門限が迫るなか、ハジンは歩けないナユンを背負って下山した。
ナユンは、スヴェンが失踪事件の犯人だったのか、いつ魔人になったのか、そしてハジンはなぜ現場にいたのかを考える。三度も命を救われたことを思い返し、ハジンが自分を好きなのではないかという疑問も浮かぶ。彼女には、この日の出来事を整理する時間が必要だった。