模擬ダンジョン試験から12時間後、午後11時に自室へ戻ったキム・ハジン。死傷者が出なかったため、キューブは警察や英雄協会を介入させず、内部調査にとどめると候補生へ伝えていた。上層部を構成する魔人たちは事件の隠蔽に成功しており、大規模な外部調査は「第二の事件」の後になるという。
騒動でトレーニング施設が閉鎖され、部屋で過ごしていたハジンは、毒矢の奇襲を避けられたのは幸運によるものだと知る。さらに「九死に一生」のうち一度を切り抜けたことで、特殊ステータス「幸運の蓄積」が一部解放されていた。
この世界のステータスには変動、不変、特殊の三種類がある。変動・不変ステータスは生まれながらに備わる一方、特殊ステータスは先天的な才能と継続的な努力によって得られる。候補生の多くは魔力制御と精神力を持ち、キム・スホには「抵抗」、チェ・ナユンには「直感」がある。ハジンの幸運の蓄積は解放率11%で、効果の説明もないため、まだ使い道は分からなかった。
次に気掛かりなのはスヴェンだった。魔人契約には感情や執着を増幅する副作用があり、ナユンと二人きりになれば暴走する恐れがある。ハジンは少量のポイントを使い、パソコンのインターネット接続機能からナユンのスマートウォッチを確認する。スヴェンは今週の狩猟部の江原道遠征に誘っており、ナユンも承諾していた。原作ではスヴェンが暴走したのもその日だった。
そこへスホから木曜日に会えないかと連絡が来る。事件の犯人を捜すため、キューブは各学年から信頼できる候補生を選んでおり、一年生の代表はシン・ジョンハク、スホ、ナユン。ナユンの推薦でハジンにも声が掛かったが、木曜日は狩猟部の活動があるため金曜日を提案し、スホも了承する。ハジンはその後、スヴェンの交流サイトを調べ始めた。
場面は江原道のガリ山へ移る。山々には生命力や霊気が豊富で、狩人や修練者などが集まっていた。山参は体内の魔力量を増やすため高値で取引され、採取を生業とするキム・ユンジュンも十年間、危険な山中を歩いている。二十回目の登山で、地図を見ながら歩く若者を見つけたユンジュンは、初心者の山参採りと思い込み、採取方法や山の危険、道具や家族の写真まで熱心に語って立ち去った。
若者はハジンだった。相手が名のある山参採りかもしれないと考えて話を遮れず、三十分を費やしてしまったのだ。ハジンの地図は「真実の書」から得たガリ山ダンジョンの案内で、現在地も表示していた。
目的地へ向かって十分ほど歩いたハジンは、茎につまずいて転倒する。植物型の魔物かと驚いたが、ただの茎だった。引き抜いた根をいったん投げ捨てたものの、ユンジュンの話を思い出して調べると、それは生命力と霊気が凝縮し、魔力を宿した七年物の山参だった。どのように使っても強い効能を持つ貴重品だと知り、ハジンは思いがけない大当たりに言葉を失う。