戦闘訓練を終えたキム・ハジンは、疲れた体で学術クラブの部室へ向かう。活動の後には日課の鍛錬も残っており、過酷な毎日にうんざりしていた。道中で見かけたユ・ヨンハは、入室前に手鏡で身だしなみを確かめ、ハジンと目が合うと彼を無視して部屋へ入る。
午後七時、部長のユン・ヒョクによる講義が始まった。テーマは魔物の急所。ユン・ヒョクは、急所を見抜く技術を極め、英雄ランキングで上位二千位に入った先輩のソ・ヨンジを紹介する。彼女は敏捷性だけが達人級で、上級魔物を単独で討伐した実績もあるという。
続いて取り上げられたのは、巨大な虎に似た魔物「山の暴君」だった。中級から上級に分類され、最初期に出現した魔物の一種として約五十年前から知られているが、急所は公表されていない。魔物の情報は大きな価値を持ち、企業やギルドが独占することもあるため、重要情報の漏えいには厳しい罰則が設けられていた。
山の暴君の急所を問われたハジンは答えを知っていたが、あえて手を挙げず、ユン・ヒョクの意図を見極めようとする。ひとりの女子生徒が「鼻ですか」と答える場面もあった。ユン・ヒョクはユ・ヨンハにも意味ありげな視線を向けていたが、彼女は答えを知らない様子だった。講義は二時間続き、魔物の急所だけでなく、属性の相性や魔法と呪文の違いも扱われた。
終了後、ユン・ヒョクは近くの店で懇親会を開くと告げる。普段なら参加しそうにないヨンハが関心を示したため、ハジンは理由を尋ねた。彼女は山の暴君の急所に興味があったのだ。ヨンハの一族は大手ギルドを率いており、討伐に役立つ情報を求めている。ハジンは、ユン・ヒョクがその関心を利用して彼女を懇親会へ誘おうとしていると察する。
ヨンハとの関係を築く好機だと考えたハジンは、自分の知る急所を耳打ちした。山の暴君の後ろ脚のかかとには青い印があり、左右どちらに現れるかは個体によって異なる。その印の部分だけ皮膚が柔らかく、狙えば後ろ脚の機能を奪えるという。ハジンは設定を自分で作ったため、情報に確信を持っていた。
しかし、ヨンハは話を信じず、ハジンを軽蔑する。ユン・ヒョクも割って入り、彼女にしつこくするなとハジンを牽制した。ヨンハ自身も迷惑だと答え、二人はその場を去る。ハジンは、彼女が情報を使えば協力者を得られるかもしれず、無視されても失うものはないと考えた。
その夜、ヨンハは翌日に控えたギルドの討伐作戦について思い悩んでいた。金剛山にいる山の暴君は上級寄りの個体で、強固な毛皮は希少鉱石プロメンティウムに匹敵する。討伐に成功すれば莫大な利益が見込まれる一方、ギルド内では副ギルド長の権力が強まり、後継者である自分の立場が危うくなっていた。功績を立てる必要があるヨンハは、父の腹心であるキム・サンホに連絡する。
ハジンの話を信じ切れず、伝えることを恥ずかしく思いながらも、ヨンハは念のため、討伐が難航したら後ろ脚のかかとを確認するよう告げた。左右どちらかに青い印があれば、そこを狙ってほしい、と。半信半疑の助言が、翌日の討伐で試されることになる。