本文へ移動
ノベルエンジン

『全知的な読者の視点から』第97話あらすじ|洪水の災厄(1)

ハン・スヨンの死を前に動揺するキム・ドクシャは、遺体に隠された仕掛けを見抜く。一方、シン・ユスンとの後援契約を結んだ一行は、魚竜がひしめく漢江へ踏み出す。危機のただ中でユスンの力が目覚め、彼女と怪物たちの意外な関係が明らかになる。

ハン・スヨンの死体に残された仕掛け

目を覚ましたドクシャは、ハン・スヨンに脈がないことに気づく。ユ・サンアと遺体を調べても傷は見当たらず、毒殺を疑うが、そもそも自分たち全員が眠り込んでいたことに思い至る。前夜に食べたグロルの骨から、果汁と一緒でなければ強い眠気をもたらすヤナスプレタの茎の粉が見つかった。食事を作ったのはスヨンだった。

ドクシャは、目の前の遺体が本物ではなく、スヨンの分身だと見抜く。分身を調べると、スヨンは「一時的な誓約書」に背いた罰の大半を引き受けさせるため、分身を犠牲にしていた。消えた分身の跡には硬貨と食事代を示す書き置きが残る。ドクシャには、彼女がなぜ自分たちと行動を共にしてきたのか分からない。

そのころ本物のスヨンは、離れた建物から一行を見下ろしていた。ドクシャの反応に不満を漏らしつつ、思いついた言葉を携帯電話に書き留める。次に会うとき敵同士かもしれない。それでも、二人がそれぞれ結末へ進めば、また会うことになると考えて、その場を去った。

ユスンとの後援契約

午後、ユスンの敏捷と魔力がシナリオで定められた上限のレベル60に達する。ドクシャはビヒョンから後援契約書を買い、ユスンに契約を持ちかけた。ビヒョンは、今のユスンと未来の災厄は同一ではなく、契約しても災厄そのものは変わらないと説明する。それでもドクシャは契約を進める。

星座のような力を貸すことはできず、硬貨を使った支援が中心になるとドクシャは伝える。ユスンは、ほかの星座と契約できなくなることを確かめたうえで、彼を信じて署名した。こうしてドクシャはユスンの後援者になるが、星座ではないため、使える機能は支援と激励に限られる。星座たちは、ドクシャと契約したユスンを通じて間接的に関われることに関心を示した。

魚竜の群れと、目覚める力

一行は漢江を渡ることにする。橋が見つからず、泳げないユスンには発泡スチロール箱を用意し、サンアが蜘蛛糸で箱とドクシャをつないだ。増水した川には、前日より多くの魚竜がいる。ドクシャは、危機を通じてユスンの能力を目覚めさせる狙いをサンアにも伝え、深刻な危険になる前に協力するよう頼んでいた。

魚竜が襲いかかると、ドクシャは「折れない信念」で応戦する。水流でユスンの箱が浮き上がるが、サンアは移動の技能と蜘蛛糸を使って彼女を引き戻した。ドクシャが魚竜を引きつけて戦い、自身も牙で負傷したとき、ユスンは恍惚状態に入り、レベル9の「調教」を発動。強い魔力が広がり、魚竜たちは一時ひるむ。

しかし魚竜は再び凶暴になり、漢江の中央には巨大な渦が生まれた。現れたのは、通常の魚竜の五、六倍もある第五級海水種「女王ミラバード」。周囲の魚竜が女王に頭を垂れるなか、空中に浮かんだユスンが近づき、その鼻先に手を触れる。水面は静まり、魚竜たちも姿を消した。女王の頭上に立つユスンを見て、ドクシャは彼女が怪物を従える「獣の王」なのだと悟る。意識を取り戻したユスンは、鼻血をぬぐい、出発を促した。