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『小説の中のエキストラ』第0話あらすじ|自分が書いた物語に迷い込んだ名もなき脇役

自分が書いた小説の世界が、目の前で現実になっている。

物語の語り手は、広大な講堂で行われている英雄協会の軍事学校ソウル支部の卒業式を眺めながら、信じがたい状況に置かれていた。壇上に立つのは、自分が創作した小説の主要人物たちだった。

最初に紹介されるのは、2024年度の首席卒業生キム・スホ。平凡な家庭の出身ながら、優れた才能と努力によって頭角を現した青年である。正義感が強く、誠実な性格を持つ彼は、英雄にふさわしい資質を備えていた。ただし、誰にも明かしていない秘密も抱えている。

約3000人の候補生と数千人の観客が集まる講堂で、キム・スホは緊張した面持ちで壇上へ向かう。その姿には称賛だけでなく、嫉妬の視線も向けられていた。

彼の成績は過去10年間でも最高水準とされ、剣に関して世界の加護を受けるという特殊能力も注目されている。努力だけでは埋められない才能の差に不満を漏らす候補生がいる一方、有力なギルドの関係者たちは、将来の勧誘対象として彼を見定めていた。

その中には、語り手が創作したユン・スンアの姿もあった。彼女は主人公を支える重要人物であり、恋人候補の一人でもある。しかし、小説は二人の関係が進展していた途中で執筆を中断されており、恋人になるところまでは描かれていなかった。

ユン・スンアの容姿は、語り手が大学時代に片思いしていた女性によく似ていた。人物を創作する際、その女性を思い浮かべていたためだと語り手は考える。

ギルド関係者たちはキム・スホの獲得をめぐって牽制し合う。候補生への接触には規則上の制限があるものの、すでに水面下では将来の勧誘競争が始まっていた。

続いて名前を呼ばれたのは、次席卒業生シン・ジョンハクだった。

韓国屈指の財閥、ジンソン家の四代目にあたる彼は、キム・スホに匹敵する容姿と才能を持つ。生まれながらの特権意識が強く、自分より優れた存在を認められない性格で、キム・スホへの劣等感から後に悪役となる人物として設定されていた。

キム・スホには羨望や嫉妬が向けられた一方、恵まれた家柄に生まれたシン・ジョンハクには、当然のように称賛が集まる。

堂々と壇上へ進んだシン・ジョンハクは、キム・スホと並び立ち、互いに鋭い視線を交わす。二人の対立関係まで、語り手が書いた物語そのものだった。

だが、ここで語り手自身の立場が明らかになる。

彼が座っているのは壇上ではなく、講堂の最後列だった。有力なギルド関係者から注目されることもない、ごく普通の候補生の一人にすぎない。

隣に座るキム・ホソプという少年が、自分は2900位だったと話しかけてくる。彼は身体能力こそ低いものの、情報収集に優れた特殊能力を持ち、語り手が存在を知っている登場人物だった。

しかし、語り手は自分の順位すら答えられない。それどころか、なぜ自分がチュンドンと呼ばれているのか、自分が何者なのかも分かっていなかった。

自分の書いた小説の世界に入り込んだにもかかわらず、与えられたのは主人公でも重要人物でもない、記憶にない候補生の身体だった。

膨大な登場人物が存在する物語の中で、名前すら与えられないような存在。語り手は、自分が何のつながりも持たない無名の脇役、すなわちエキストラになってしまったことを悟る。

そして、その存在感は脇役というより、取るに足らない塵のようなものだと自嘲するのだった。