深夜、ユ・ヨンハはギルド体験プログラムの報告をまとめ、求人を掲載しながら、情報ギルド「フォーリング・ブロッサム」の設立準備を進めていた。海峡の精髄にも情報部門はあるが、彼女が目指すのは情報収集を専門とする独立した組織だ。一年かけた準備はほぼ整い、あとは人材を集めるだけだった。
チェ・ナユンから石灰岩ゴーレムとの戦闘映像を見たかと連絡が来る。ヨンハは、キム・ハジンが魔力でナユンを引き寄せ、抱きとめた場面まで鮮明に映っていると答えた。ナユンは映像を広めないよう頼み、話題を翌週のセミナーに変える。ヨンハはキム・スホが参加すると聞いて断ったが、シン・ジョンハクも来ると知ると一転して同行を決めた。
続いてパク・サンホから、イ・ジナがハジンに個人的な連絡を送り、そのため彼がギルド体験を辞退すると言っていると聞かされる。将来ハジンを勧誘したいヨンハは怒り、気が進まない様子ながら父親に電話した。
翌朝、海峡の精髄の副団長チョン・チョルスはジナから事情を聞く。ジナはハジンを脅すつもりはなく、奨学金について話そうとしただけだと説明するが、説明不足で誤解を招き、ギルド長との「個人面談」を命じられた。彼女は実技順位九百三十四位のハジンはギルドの基準に合わないと反論する。だがチョルスは、機密扱いの高位魔物「山の暴君」の急所情報をハジンが提供したと明かす。理論首席の彼なら討伐映像から急所を分析できるという説明に、ジナは言葉を失った。
「個人面談」はギルド長ユ・ジヌンによる一週間の訓練だった。実力差が大きく、ジナは一方的に攻撃を受けることになる。さらにハジンへ謝罪し、もう連絡しないよう言い渡される。
その頃、ハジンには八十九ポイントと幸運ボーナス十二ポイントの獲得通知が突然届く。石灰岩ゴーレムとの戦いを経て、鍛えても身体能力の差は広がると考えた彼は、装備を強化する才能の作成に取りかかった。銃の威力や命中精度、乗り物の速度や耐久性など、装備の「概念」を強める精霊属性の才能「ランダム統合システム」を考案する。
保存時にポイント不足となったが、幸運で効果の一部は残った。才能は最低ランクになり、装備を最大五つまで同時に調べて、一〜四十四パーセント強化する。ただし効果は二十四時間で変動し、装備への適用を解除しても元に戻るまで一時間かかる。ハジンは不満を抱きつつも結果を受け入れた。
才能を急いで作ったのは、旅行クラブから「次の金曜日の行き先は英国」と知らせが来たからだった。次の大きな出来事を予感したハジンは、引き出しにしまっていた魔剣を手に取る。
英国王室で休暇中のレイチェルには、執事ヘンリーがキューブとの合意により信頼できる護衛を派遣すると告げる。また、彼女を救ったハジンに王室から連絡する予定だと伝えた。レイチェルは、彼が隠している実力や、卒業前の訓練生を勧誘できる王室の特権に期待を寄せる。ヘンリーが去ると、彼女は腹部を撫で、いつかそこに命を宿す未来を思って恥ずかしそうに微笑んだ。