午後六時四十分、クランシー小島のクランシー・ホール。キム・ハジンの隣では、カメレオン旅団のボスが給仕から受け取ったチョコレートを夢中で食べていた。まもなく公開される白色結晶は、魔人たちに渡してはならない貴重品だ。しかしハジンには計画を阻止する力がなく、仮に可能でも目立つ行動は避けたい。ロトン社は幹部に魔人こそいないものの、極めて腐敗した企業でもある。ハジンは、原作どおりカメレオン旅団が水晶を奪うのが最善だと判断した。
そこへキム・スホとチェ・ナユンが戻ってくる。ハジンはボスを、偶然知り合った上級中位の英雄「リ・シャオペン」と紹介した。二人が挨拶を交わした後、キム・ジュヌも現れ、ボスとジュヌは互いの実力を察した様子を見せる。年齢を尋ねられたボスは、自分が二十四歳だと知られるのを嫌がって即座に拒んだ。二人が立ち去った後、ユ・ヨンハとオ・ハンヒョンが合流する。
ハジンは会話を聞きながら、襲撃に参加する魔人たちを思い浮かべる。水晶の運搬役ネイデ、パリの仮面舞踏会事件にも関わった戦闘員シラセン、そしてイービル・ソサエティの遺物回収班を率いるキム・ハクピョだ。やがて照明が落ち、ロトン社社長ゼレンが舞台に姿を現す。
二階の特別席に案内されたレイチェルは、一階を見下ろしてハジンたちを見つける。ハジンは高級スーツに加え、以前レイチェルから贈られた部分遺物の上着も身につけていた。ゼレンは開会挨拶の途中で、レイチェルを英国王室の宝石として紹介する。突然の照明に戸惑いながらも、彼女は立ち上がり、観客に微笑んだ。
続いてゼレンは、自然界で魔力が凝縮して生まれる白色結晶を紹介する。生命力に満ち、存在するだけで周囲の魔力密度を高める天然の宝だが、発見数は四百八十個にすぎず、十分な活用方法も確立されていなかった。ロトン社は真の利用法を示すと宣言し、ガラスの立方体装置に浮かぶ結晶を披露する。その装置は、ペルシア帝国時代の土器を分解し、最新の魔力工学で再構成した部分遺物だった。
観客が驚くなか、レイチェルは一階の通路を動く黒い人影に気づき、護衛を調査に向かわせる。直後に席を立ったハジンを見て、事件のある場所にはいつも彼がいると思い出した彼女は、首飾りに蓄えられた「シェード」で気配と足音を消し、後を追った。
ハジンが向かった屋上は、入口が施錠されていた。彼は古びたハンマーを取り出し、魔力合金の鉄扉を一撃で大きく破壊する。魔力をまとっている様子もないその力に、レイチェルは言葉を失った。
その頃、ロトン社が本物の結晶と古代遺物を持ち込んだとの報告を受けたキム・ハクピョは笑みを浮かべる。厳しい入島審査があり、人工ポータルも作れない小島へ、イービル・ソサエティは航空母艦を使って侵入する計画だった。ハクピョが開始を命じると、足元から濃い黒霧が広がる。演出だと思っていた招待客も、悲鳴で異変に気づき、会場は恐怖と混乱に包まれた。屋上付近にいたレイチェルも階下の悲鳴で我に返る一方、ハクピョは席に座ったまま混沌を楽しげに眺めていた。